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 文化祭(ものづくり)

 

 文化祭に限らず多くの行事で、ものづくりは避けて通ることのできない関門です。私は技術・家庭科の教員なので、生徒にものづくりをさせることは全く苦ではありません(というかそれが生き甲斐?)が、それが苦痛で学校行事自体を好まない先生も少なくありません。ここでは、なぜうまくできないのか、それを解決するにはどうすれば良いかのヒントを思いつく限り紹介します。「行事大好き」仲間が1人でも多くなることを願って……。

 


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立体模型を作りた−い!

問題点

 写真やイラストなどの平面の世界を、立体の世界で表現する模型作りは、多くの生徒にとっては難易度の高い作業となります。作りたい模型が大きければそれだけ細部までこだわる必要があり、難易度はますます高まります。

これで解決!

 市販のプラモデルや模型などを入手します。なければ紙粘土や厚紙で小さな模型の見本を作りましょう。それができないようでは、目的の大きな模型はもっとむずかしいでしょう。模型の見本ですから細部にこだわる必要はなく、縦・横・奥行きの比率などが合っていれば十分です。

 模型の見本が完成したら、それを10倍や20倍と倍率を決めて、目的の大きな模型作りに入ります。動物ならば足の長さは…、頭の長さは…、目と目の間隔は…などと模型の見本の長さを測り、それを倍率で掛ければ実際の長さがわかるので、ちょっと得意な生徒ならばどんどん作業が進みます。

 どうしても見本の模型が準備できない場合は、正面・側面・上面の3方向から見たときの図(イラスト)を描いて、図の倍率を決めてそこから寸法を測りながら作ります。

 

模型が立ち上がらな−い?

問題点

 「高さ2メートルのミッキーマウスが立たない」「恐竜を立たせたいが足首が折れてしまって…」「実物大のイルカを天井からぶら下げたいが…」という相談が文化祭の間近になって寄せられることがあります。いずれのクラスも共通した問題がありました。まずはどの模型も重いのです。段ボールなどは中を空洞にして作れば軽いのですが、新聞紙などを丸めて詰め込んだりすると、とてつもなく重くなります。もう一つは作業の手順です。これはもの作りの経験の有無が明暗を分けています。

これで解決!

 立たせる模型は、立った状態で作る。つるす模型は、ひもで吊しながら作る。これが基本です。作業する場所の関係でそれが出来ない場合でも、時々は立たせたり吊したり出来るかを確認すること。立たせる場合は、土台作りから始めます。木材や段ボールの柱などを駆使して作ります。そこに肉付けするのですから、作業の途中で倒れたりする場合はすぐに修正することが出来ます。つるす模型の場合も同様です。ひもが切れたりする場合は重すぎることに気付くので、初期の段階で問題を解決することができます。
 大切なことは軽く丈夫に作ることです。新聞紙や段ボールを丸めて中に詰め込むことは絶対にしてはいけません。中身が空洞で変形が心配な部分には、発泡スチロールを詰めて下さい。その方法ならば重さでつぶれることはありません。

 

                    等身大鉄腕アトムの例
 2本足で立たせる模型は、左図のように土台を作ります。厚さ12ミリ程度のベニヤ板を円形に切断し、2本の角材を固定します。その際にL字金具で補強すると丈夫にできます。

 図は肩幅に足を直立させた状態の例ですが、前後に開いて歩いている状態に作ることも可能です。その場合は長めの金具を使って固定するのが簡単です。

 腕は作りたいポーズに合わせて自由に接合できます。角材でやりにくい場合は、太い針金(針金ハンガーでも良いですね)を使うこともできそうです。

 仕上がりのイメージはこのような感じです。土台の各部の寸法は、図を何度も書いて決めて下さい。可能ならば、事前にミニチュア版の模型を作ってみて、仕上がり具合を確認することをお勧めします。

 

巨大折り鶴を体育館に吊した−い!

問題点

 折り鶴にかぎらず折り紙は、あまり大きな物は作ることができません。試しに新聞紙を使って折り鶴を作ってみてください。すぐに形が崩れてしまうでしょう。新聞紙は紙が薄いからです。普通の折り紙の10倍の高さの折り鶴を作ろうとすると、紙の厚さも10倍、紙の面積が100倍、重さは1000倍となります。では100倍の高さの折り鶴は…。そもそも100倍の厚さの紙って、あるのでしょうか?ボール紙とかでは厚さの割に強度がないからダメですよ。

これで解決!

 いくつかの解決策を提案するので参考にしてください。「巨大折り鶴を吊そう」という題目で、クラス全員でアイデアコンテストを開催するのも楽しそうですね。班単位で実際に次のようなアイデアをもとにやってみるのです。

  • 木材で骨組みを作り、そこにダンボール紙を取り付けて折り鶴のようにする。
  • アルミパイプで骨組みを作り、そこにダンボール紙を取り付けて折り鶴のようにする。
  • 竹で骨組みを作り、そこにダンボール紙を取り付けて折り鶴のようにする。
  • 網目状に組んだ針金を障子紙でサンドイッチにして、それで普通に折り鶴を作る。
  • 竹ひごで折り鶴の形をつくり、提灯づくりの要領で障子紙を張り付ける。
  • 何としても厚さが100倍の紙を入手し、折り鶴を作る。(天井が抜けるくらい重くても気にしない)

教室に柱を立てた−い!

問題点

 場所が教室だけに床や天井に大きな傷がつくような行為は許されません。なにか不安定な物を立てるときに、あとのことを考えない方(生徒とは限らない…)は、荷造り用のビニール紐を布テープ(ガムテープともいう)でとめて上から吊るそうとしたり、石膏ボードの天井にネジを止めたりしてしまいます。天井は剥がれるわネジは外れてしまうわで文化祭どころの騒ぎではなくなってしまいます。

これで解決!

 下の図は教室を縦にスライスした状態の断面図だと思ってください。鉄筋コンクリート造りの校舎ならば大抵は天井にコンクリートの梁(水平方向の柱)が出ています。その部分から床までの高さにピッタリ合わせた木材の角材を立ててください。多少は木材も凹んでしまうので1〜5ミリは長めの方がより丈夫になります。ピッタリと梁と床にはさまれた角材は、梁の近くか床の近くをハンマーでたたかない限りビクともしないぐらい見事に立っていますよ。角材はDIYセンターで1本400円程度で売っている「垂木」で充分です。学校の技術の先生に訊けばすぐに分かるはずです。 

説明図1  この図では2本の角材を立てています。もちろん奥手方向に何本でも並べていくことができます。
説明図2  こちらはその応用編です。教室の中心に梁がなくてそこにどうしても柱を立てたいときは、この図のように梁と梁を結ぶように角材を押しつけて梁を自分で作ります。梁のたわみ具合が予測しにくいですが、力のかかり具合を理解できる生徒ならば中学生でもできそう。
説明図3  何の絵なのか分からなくなりましたが、要するに使用例です。模型をこのように柱に串刺し状態にすれば絶対に倒れないし、掲示板などのパネルを取り付けるときの支えに利用することもできます。大仏を天井まで届く仕切で囲むときに使ったクラスもあります。
 
 これは2003年度文化祭「E.T.」で柱を立てた様子です。長さ1800ミリの垂木を2本つなげて立たせています。 ねじ穴は5センチぐらいの長さに切って、高さの調節ができるようにしました。

 

接着剤の選び方

問題点

 接合する素材によっていろいろな種類の接着剤が売られています。つまり、万能な接着剤はないのです。この場面ではどの接着剤が役立つかという判断は、ものづくりの経験が浅い生徒にとっては難しいものがあります。とくに、木材やプラスチックの部品を紙工作用の糊でつけようとしていたら、その生徒には充分教え込む必要があります

これで解決!

 「失敗は成功のもと」は言いますが、失敗の原因を探らないかぎり「二度あることは三度あり」です。紙工作用の糊は小学校の工作で使用してきているのですから、それが机や筆箱に付いてもすぐに剥がれるという経験はしているはずです。中学生が木工用接着剤でプラスチックや金属をつけようとする場面も良くありますが、それが2年生だったら同様に要注意です。(1年生で木工用接着剤をつかう作業を経験している場合の話)

 中学校では次の2種類があると、大抵のものづくりはできます。

  • 紙工作用の糊(好みに応じて)
  • 木工用接着剤(速乾性の物は使い切る前に固まってしまうのでもったいない)
  • ゴム用接着剤(とってもくさーいです)

これに加えてゼリー状瞬間接着剤があるとベストです。瞬間接着剤は一度開けたらフタを閉めても数週間で固まってしまうので贅沢品です。どれがどんなふうに接着するかは、試行錯誤してください。


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