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鈴木 「わたし…、今でも忘れられない…。歴史の授業で見せてもらった写真…。」
伊藤 「ああ、あの日本兵が生首を持って記念撮影をしているやつだね。」
鈴木 「…にこって…笑ってんのよ…!」
しばらくの沈黙。
秋里 「戦争っていう極限状態におかれたら、誰でもああなるんだと思う。きっと、
あの兵隊は本当に笑っていたんだと思う。自分がやっていることは笑いなが
らでも出来ることなんだって考えるしかなかったんだと思う。」
佐野 「ねぇ、みんなで考えるんでしょ?」
志賀 「ああ、みんなでな。」
佐野、箱森を見つめている。
一同、佐野の視線の先に箱森を見る。
沸き上がった雰囲気が急に冷たくなる。
佐野 「箱森くん。あなたはただの乱暴者じゃないわ。みんなに指示を出したり仕事を
分担したり、そういうのって才能だと思う。学級委員の志賀くんは確かに勉強
は出来るけど、リーダーとしての力はあなた程じゃないと思うの。二週間で文
化祭を仕上げるにはあなたの協力が絶対必要なの!」
箱森 「仁平!」
仁平 「はっ、はい!」
仁平、箱森の手招きに応じて近づく。
箱森 「シナリオ、出しな。」
仁平 「え……?」
仁平、戸惑いながらもシナリオを出す。
箱森 「誰が何と言おうと、ステージ発表をやる気持ちは変わらない。」
全員、落胆の色を隠せない。
それに追い打ちをかけるように、
箱森 「他のやつも、シナリオを出せ。」
一度はまとまりかけた集団の中に散らばっている四人衆、戸惑う。
シナリオを出そうと迷うが、近くの者に目で訴えかけられる。
箱森のそばにたつ仁平の肩が次第に震えてきて、目は堅く閉じられていく。
ついに決心が付いたとき、大きな使命感に勇気がわいてくる。
仁平、後ろのみんなに出来る限りのほほえみを見せ、そしてシナリオを掲げる。
ゆっくりと、シナリオは破られていく。
一同、仁平の身に危険を感じる。
仁平、ゆっくりと箱森の前にまわり、破れたシナリオを箱森の前におく。
箱森の視線がそのシナリオから仁平の顔にゆっくりと移る。
一同、ゆっくりと二人に近づいていく。
仁平、箱森に見つめられても目を離さず、ほほえんでいる。
箱森、ふっとため息をついた後、破られたシナリオを手に取る。
シナリオをさらに二つ、そして四つにと、破っていく。
箱森 「シナリオ、書き直すぞー!」
一斉に歓声が沸く。
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